肺虚万病論

Ⅰ.はじめに
金元時代の医家、李東垣(1180-1251)により著された『脾胃論』は、現代の東洋医学理論に大きな影響を与えている(1)。『脾胃論』は『内外証弁惑論』と同じく、その土地の気候や風土、状況から生じた疫病とそれらの問題を、寒熱を中心と診る当時の医家たちの誤治により、多くの人民が亡くなっていった現実から、病の本質を考え、医療実践した中から紡ぎ出された書籍である。
臨床実践において有用な書物が著されるには、著されるための背景がある。この視点からみると、現代は肺の問題が多くの病に関与している、と臨床から考える。
本論では肺の問題について記していきたい。
記すにあたり、まず著者が使用する現実と認識の関係、そこから導く気についての説明を記載する。

Ⅱ.現実と認識について
まず、現実について述べる。現実とは、大辞泉によると「いま目の前に事実として現れている事柄や状態」とある(2)。我々が生活する一般的社会において現実は、多くの人間が同じものと捉えているようにみえる。しかし、少し詳しくみると、個々人により現実は異なる。現実を理解するために人は、ある出来事を視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚の五感を用い、そこからある出来事を今までの知識や分析、想像、理解などの知恵を用いて認識する。この認識とは「ある物事を知り、その本質・意義などを理解すること。また、そういう心の働き」である(3)。個々人の認識の差により、現実は個々人により異なる。例えば色彩認識である。「この色が黄色です」といっても白内障を持つ者は、一般的な黄色と異なって感じている。また生まれつき色覚異常の場合は、もともと一般者との認識は異なっている。しかし、自分の中では今までの経験や他色との兼ね合いや教育で「これは黄色」であると認識している。しかし、前述したとおり一般社会において、現実は多くの人間が同じものと捉えている。これは一般社会では多数決により、多種の現実が一つの現実としてあたかも決められているためである※。
本論ではこれを一般的現実と呼ぶ。一般的現実の多くは現代科学の説明を基にしている。しかし、現代科学はあくまでも現代の代物である。未来永劫続くことはない。これは物理学や化学、生物学だけでなく、歴史学、心理学、教育学、倫理学、社会学などの人文学の分野を見渡しても理解できる。
以上のように一般社会の中で、特に意識をしなければ、大多数の人は一般的現実を認識するための五感を「人は皆同じ感覚であり、皆が同じように現実を認識している」と思っている。ところが、「気」というものを対象にした時、その認識とそこから生じる現実はもの凄く大きな個人差をあらわす。
ある事象を共通して理解するためにはまず、対象となる事象を同じように捉えて、同様に感じなくては不可能となる。
著者らは高位において、修練者が同一の感覚となることを目指して研鑽してきた。その結果、一定の満足が得られる程度の認識統一が取れるようになった。
これらの研鑽の中で分かったことは、第一に現代の一般的現実を認識する五感的感覚と修練を積んで得られた気的感覚では、同じ事象をみても異なった現実が存在すること。第二は個人の気的感覚の質の差とレベルの差により、認識はさまざまな内容と段階に分けられることである。つまり質・量ともに良い研鑽を積まないと、「気を認識した」といっても全く異なったものを認識している可能性がある。今までの東洋医学は、この内容を曖昧なままにして伝えてきた。そのため現在のごとく、一貫性のない内容となってしまった。
本論では我々の研鑽から得られたレベルを基準として、気の現実を論じる。このことを了解していただき、読んでいただけると幸いである。
※その他として権力の使用による現実決定もある、と考える。

Ⅲ.正気の偏在を理解する
著者は気を主軸において人を診、治療と養生を探究してきた。その経験から、治療は毫鍼による刺鍼よりも接触鍼の方が正気は漏れにくく、安全で効果が得易いことに気付いた。ここでいう正気とは、人体が生きるために必要なすべての気、と定義する。そして接触鍼を用い臨床を積み重ねることが、接触鍼の進化へと繋がった。
接触鍼は鍼の材質が正気により近い物が良く、作る時の素材の選択が重要項目の一つとなる。素材の悪しきもの、つまり正気とは遠いものを用いて訓練を続けても、上達には繋がらない。それでも効果があった場合は、施鍼により正気が増えたのではない。それは治療者の念力もしくは体力を用いた治療である。念力や体力を用いる者にとっては、治療道具も理論も必要ないのである。しかし、自分の能力に気付かずにいる者はかなり多い。自分自身の能力に気付かず、東洋医学や現代西洋医学の理論で自身の治療理論を整理して、世の混乱を招いているケースも少なくない。
素材の良い接触鍼を用いることにより、正気と邪気の区別が可能となる。これにより気的感覚は向上する。向上した気的感覚で人を診ると、人の体中で正気の多い部位と少ない部位を分けることが可能となる。古来より正気の多い少ないをみることの難しさゆえ、寒熱の分類を重視していった伝統医学の流れも理解できてくる。
正気の多い少ないが理解できれば、寒熱の生じる意味が自ずと理解できてくる。絶対に間違ってはならないことは、「寒=虚、熱=実」という認識である。また、「正気と邪気を区別せずに用いる虚実判定」である。そして診断を一つに絞るなど、不要に単純化することは病態把握を誤らせるものである。「寒熱と正気の虚と正気の充実は体中に複数散在している」現実を知ることが大事である。

Ⅳ.気的感覚で現代解剖学的臓器と器官をみる
体内の気の偏在の区分は、東洋医学的な臓腑では実際の身体の現実から離れ過ぎて使い物にならない。体内を区分してみるには現代解剖学的区分である臓器や器官が良く、気的現実との整合が得られやすい。
気的感覚を用いて、現代解剖学的に分類された臓器や器官、さらにそれらの部位を診ることで把握した「正気が少ないところ」「冷えているところ」「熱を持っているところ」は、現代医学的にも病的な臓器や器官、さらにそれらの部位と一致することが多い。その部分の正気の修復を行う治療により、現代医学的な改善が得られる現実がある。このような気的現実と現代医学的現実の整合性を多く経験している。
難しいのは「正気充実の温もりと、陰虚による熱、病原性微生物に対応するための正気充実の熱」、加えて「寒における正気の有無」である。これを区分するには非常に鋭敏な気的感覚が必須となる。鋭敏な気的感覚が身に付けば、寒熱に惑わされずに正気の有無を正確に見抜くことが可能となる。
今の著者の能力では、常に最高の能力で診断することはできずにいる。そのため自分自身の調子の良い時に得た現実を主軸にして、整理に努めている。
以上のような気の現実を得ているが、100%の真実を得ているとはいえない。しかし、新たな東洋医学の道を示すことは可能と思う。
これが現在、私が得ている治療における気の現実である。

これらを踏まえて、次の項からは臓器としての肺の正気の虚を起こす原因や治療について考えていきたい。

Ⅴ.肺虚を起こす物質
先述したように、病の診断や治療はそれが行われる時代や環境が大きな影響を与える。
本説では21世紀の都市や都市周辺地域を中心に考える。20世紀後半から注目された食べ物と水や飲み物に含まれる内容物や添加物の問題は、多くの書籍やメディアを通じて語られてきた。現在においても問題状況は引き続いている。しかし、飲食物の問題は現代では無農薬野菜や低農薬農法、有機野菜、そして無抗生物質飼料を使った家畜の食用肉など、ある程度、消費者の選択が可能となっている。一方、空気汚染の問題は飲食物と比べて個々人での選択はとても難しい。例えば多くの人は1日中、空気清浄機が稼働している所にいることは非常に困難である。この状況を鑑みると吸気から直接、外界の空気と体内環境に触れる肺は現代の病へ大きな影響を与えている、と考える。つまり臓器としての肺は外界の空気に含まれるさまざまな物質から影響を受ける。
それでも全身の正気が充分に存在し機能しているとき、大きな症状は発症しない。しかし、外界から途切れることなく侵入してくる有害物質を無害化するため、正気を消耗し続けると身体は正気の不足を起こす。また何らかの原因により全身の正気が減少する場合、俗にいう体力の低下が起こると呼吸器にもその影響が及び、二次的に肺や気管、気管支など呼吸器に正気の虚が生じる。
本説では臓器としての肺の正気の虚を肺虚と表記する。
肺虚を引き起こす原因はいくつも存在する。以下にそれぞれを記載する。
A.排気ガス
自動車やバイクは大変便利である。近年では電気を利用したハイブリッド自動車も増えている。しかし排気ガスが全くない、というわけではない。また現在でも排気ガス規制が今よりも緩やかであった時期の自動車やバイクも走行している。以前より、自動車やバイクの排気ガスによる人体への悪影響は知られ、公害問題としても認知されている(4)。排気ガスの人体へ悪影響を及ぼす成分は一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素化合物(NOx)、粒子状物質(PM)、硫黄酸化物(SOx)、二酸化炭素(CO2)などである(5)。
排気ガスは人体においてまず、気管や気管支、さらに肺へ触れることを忘れてはいけない。

B.人工建材や日用品から発揮する化学物質
新築の家屋や新車に入ると、さまざまな症状が出現して体調が悪くなることがある。近年ではこれらをシックハウス症候群やシックカー症候群と呼ぶ。症状としては目のチカチカ感や流涙、くしゃみ、鼻水、鼻がツーンとする、喉の痛みや乾燥、喉のイガイガ感、咳、痰、じんま疹、湿疹、皮膚の痒みなどの眼・鼻・喉・皮膚の刺激症状がある。これらは体表に近い各器官へ原因物質が影響したものである。しかし、症状はそれだけにとどまらない。耳鳴りやぜん息発作の出現、頭痛、めまい、気分が悪くなる、食欲不振、腹痛、下痢、腰痛、膝痛、手足の冷えや震え、動悸、不整脈などがある(6)。これは原因物質が体内にまで大きく影響することを示す。原因物質は家屋の人工建材や日用品、自動車内のシートやカーペット、天井材に使用されている有機化合物である。具体的な原因物質はホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、テトラデカン、クロルピリホス、フェノブカルブ、ダイアジノン、フタル酸ジ-n-ブジル、フタル酸-2-エチルヘキシルなどが存在する(7)。
また日用品として非常に身近なところでは、香害(こうがい)と呼ばれる、香水や、合成洗剤・柔軟剤・入浴剤・防虫剤・化粧品・芳香剤などに含まれる合成香料に起因した健康被害も、やはり原因物質が気管や気管支、さらに肺へ触れることから誘発される現象であることも頭においておくべきである。

C.PM2.5
PM2.5とは、大気中に浮遊している直径2.5㎛(マイクロメートル)以下の極めて小さな粒子のことである。日本では微小粒子状物質という。PMとはParticulate Matter(粒子状物質)の略語である。1㎛とは、1mmの1/1000(1000分の1)を表す単位である。ちなみに人の髪の毛の直径は約70㎛、スギ花粉は約30㎛である。これらと比べてもPM2.5は非常に小さい。つまりPM2.5はその微少さゆえ、鼻から気管、気管支に入るのみならず、肺まで侵入していく。これが人体へ大きな問題を引き起こす。
PM2.5の成分は炭素成分や硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどさまざまである。
PM2.5の発生は物の燃焼により生じる煙である。またガス状の大気汚染物質が大気中で化学反応を起こし、粒子化したものもある。ガス状の大気汚染物質には自動車やバイクなどの排気ガス、工場の排気ガス、ゴミ焼却施設などからの排煙に含まれる二酸化硫黄などの硫黄酸化物(SOx)や窒素化合物(NOx)、溶剤や塗料などから発生する揮発性有機化合物(VOC)などが存在する。加えて火山噴火による火山ガスなど自然に由来するものもある。
日本に存在するPM2.5の多くは日本国内の自動車やバイクなどの人工物からの影響、さらに中国工業地帯や自動車等の排気ガスなどの越境大気汚染の影響が考えられる(8)。
これら大気汚染物質由来のPM2.5は肺深くまで侵入し、人体へ悪影響を及ぼす。

D.花粉
花粉症は日本の国民病といわれている。花粉症の原因として、春はスギやヒノキ、秋はブタクサなどの花粉がある。しかし、花粉そのものだけが花粉症の原因ではないようだ。昔から「木の芽時の病」という言葉や症状は存在する。古来から若干の花粉症の存在がうかがわれる。しかし、昨今の花粉症患者の数や症状の強さは昔からの木の芽時の病の患者数と症状の程度とは比べものにならないくらい、数は多く程度も強いと推測する。
近年の研究では、花粉にPM2.5が付着していることが明らかになっている。これは山間部よりも都市部の方が多いとされる。これらの研究から昨今の花粉症は花粉単体が主原因でなくPM2.5が付着した花粉や自動車などからの排気ガスを花粉と同時に吸入することなどが主原因であること、スギやヒノキの花粉が最も多い山間部よりも都市部で花粉症が多い現象の説明になる(9)ものと考える。

E.黄砂
黄砂とは、中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠、黄土高原、バダインジャラン砂漠、トングリ砂漠などの乾燥、半乾燥地域で風により数千メートルの高度まで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本へ飛来し、大気中に浮遊や落下するものである。黄砂粒子は石英、長石などの造岩鉱物や雲母、カオリナイト、緑泥石などの粘土鉱物が多く含まれている。日本まで飛来する黄砂の粒径は直径4㎛付近が多い(10)。
黄砂が日本へ飛来する途中で中国の化学工業地帯の大気由来のPM2.5が付着してくる(11)。
花粉と同様に、黄砂とPM2.5の複合曝露は黄砂単独やPM2.5単独よりもアレルギー反応が強くおこる可能性が高い(12)。
また砂漠へ垂れ流された工業廃液が乾燥して、廃液成分が付着した黄砂が日本へ飛来する、という情報も存在する(13)。これは先述した黄砂とPM2.5の複合曝露以上に、人体へ悪影響を及ぼす可能性が高いことを示唆する。
産業革命が起こる以前、大気は人体の正気の重要な構成要素になっていた。しかし産業革命以降、大気は疾病の原因要素にもなっていることを私たち治療に携わる者は認識する必要がある。

Ⅵ.肺虚が全身におよぼす影響
先に述べたような原因により、肺が虚すとどのようなことが起こるか考えてみたい。後天の気を生み出す両輪の片方である肺の働きが低下すると、生命活動に必要な正気の生成が十分ではなくなる。正気の虚が軽いうちは表立った症状はみられないかも知れないが、元々正気が少なかった箇所においては早い段階で症状が出現すると思われる。
正気の虚が重くなることで最も問題だと感じているのが、コントロール機能の失調である。コントロール機能が上手く働かないということは、免疫反応・ホルモン分泌・神経系の伝達などに異常をきたすということだと考えている。
免疫反応の異常として取り上げられるのは、アレルギーである。先に述べた花粉症やシックハウス症候群、シックカー症候群、化学物質過敏症、黄砂症候群などは、まさにアレルギー疾患である。また現在、難病や原因不明の病の多くは自己免疫異常が引き起こしている、と思われる。
もちろん、アレルギーについては、飲食物からの胃や腸の粘膜を介する反応も忘れてはならない。しかし、東洋医学的な観点からみれば肺は皮膚や粘膜にも関係しており、粘膜に覆われている内臓や血管の機能にも肺が深くかかわっていることに注意しなければならない。
さらにいえば、免疫反応・ホルモン分泌・神経系の伝達などに異常が生じると全身に影響が及ぶ。これは現代医学的にみても身体のどこで不調が発生してもおかしくない。また東洋医学的に考えても、生命活動に必要な正気の生成が十分ではなくなることは、身体全体において正気が不足し、どこから、そしてどこに症状があらわれても不思議ではない。
ここで重要なのは、肺虚が全ての正気の虚に関係する点である。

Ⅶ.養生と治療
前項でも述べた通り、正気の虚は免疫反応の異常を引き起こす大きな原因であると考えるが、著者自身も2005年に化学物質過敏症を発症している。当時は石油由来の化学物質のにおいを嗅ぐことや食品に含まれる添加物の摂取でめまいや嘔気、全身脱力感、頻尿、生唾が出る、冷や汗、下痢、頭痛、頻脈など、様々な症状があらわれた。
著者の場合もきっかけは花粉症であったが、現在では自身の治療と養生により、日常生活はほぼ問題なく、おくることができている。またこのことがきっかけとなり、肺虚を起こす物質の影響を減少させる方法など、養生の研究を続けている。
その中で、山にいると化学物質過敏症の症状の大きな軽減が得られることに気付かされた。これは花粉飛散の多い時期でも同様であった。さらに標高の低い山より高い山のほうが症状は軽くなり、体は楽になり、体調は改善した。これらの体験より、大気中の化学物質含有量は、山は平野より少ないこと、そして高い山は低い山よりもっと少ないことを実感した。この養生法を化学物質過敏症やアレルギー疾患を患う友人や患者に伝えたところ、山へ移住し、そちらに住み始めてから化学物質過敏症やアレルギー疾患の症状は出なくなった、もしくは軽減した、との報告を受けている。ただし、農村部ではこれらの症状は悪化することも分かった。これは農薬が影響している、と考えられる。
ところで最近のアレルギー疾患の研究において、花粉症は近年、脳血管障害や心臓疾患との密接な関係がある、と現代医学の先端分野では報告されている(14)。
これについて、著者が経験した左半身不全麻痺の患者を例に考えてみたいと思う。仮説の域を出ない部分もあるがご了承いただきたい。
この患者はもともと強度の花粉症であった。臨床では花粉症を発症している場合、ほぼ右肺が虚している。この患者も同様であった。肺の虚は、まず同側の脳の正気の虚を引き起こす。理由は、肺が虚すと正気や血液を脳に十分送れなくなり、それが原因で右肺虚と同側の右脳の正気の虚を引き起こしていたと考える。その後、右脳出血を起こし、左半身不全麻痺となった。
この場合の治療は左半身や右脳への正気の補気は当然であるが、発症の元である右肺への補気は非常に重要である。
さて、気的感覚をもとに臨床に臨む中で、15年程前から特にここ10年は、一般的に肺虚が主原因とは考えにくい症状においても正邪脉診法(15)における右寸口部に顕著な虚があらわれる症状が急激に増加している。先の左半身不全麻痺の症例もそうだが、現代は様々な物質によって肺虚を起こしやすい環境にあることを常に頭において、臨床に臨むことが必要である。

Ⅷ.おわりに
今回、最近強く感じている肺虚を主軸とした気的医学について論じてきた。
先述した病態把握や治療は、現代医学から得られる事実である。現代医学は東洋医学にない自然科学がある。東洋医学には現代医学にない気がある。しかし、既存の東洋医学では現代医学の理論を融合することは無理であろう。現代医学との融合は気的医学が担う役割である。融合することで、どちらもが進化出来ると思う。
肺虚万病論。
昭和、平成、令和、そして次の時代へ繋がる病の形態である。

伝承毉学柿田流
主宰 柿田秀明
学術部長 伊藤和真

(1)真柳誠『『内外傷弁惑論』『脾胃論』『蘭室秘蔵』解題』
http://square.umin.ac.jp/mayanagi/paper01/toenkaidai.html
2020年7月9日.
(2)村松明監修『大辞泉』東京:小学館,1995年,p.857.
(3)村松明監修『大辞泉』東京:小学館,1995年,p.2037.
(4)apedia編集部著「尼崎大気汚染公害訴訟」出典:Web版尼崎地域史事典『apedia』
2019年6月29日最終更新. 確認日2020年10月16日.
http://www.archives.city.amagasaki.hyogo.jp/apedia/index.php?key=%E5%B0%BC%E5%B4%8E%E5%A4%A7%E6%B0%97%E6%B1%9A%E6%9F%93%E5%85%AC%E5%AE%B3%E8%A8%B4%E8%A8%9F
(5)「2.自動車の排気ガス」国土交通省
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/transport/shouwa42/ind050402/002.html
「自動車公害対策」公益社団法人東京都環境公社 東京都環境科学研究所
https://www.tokyokankyo.jp/kankyoken_contents/research/mobile/main.htm
「排気ガス」ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%92%E6%B0%97%E3%82%AC%E3%82%B9
(6)「シックハウス症候群について」京都府ホームページ
http://www.pref.kyoto.jp/yakumu/sick.html
(7)「シックハウス症候群」愛知県衛生研究所 衛生科学部生活科学研究室
2019年7月23日.
https://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/sickhouse1.html
「シックハウス症候群と化学物質」大阪安全基盤研究所
http://www.iph.osaka.jp/s012/050/030/010/040/20190304151252.html
「シックハウス症候群について」京都府ホームページ
http://www.pref.kyoto.jp/yakumu/sick.html
頼長博朗「夏こそ車の喚起「シックカー症候群」」産経新聞ENAK東京朝刊,年7月28日,
http://www.sankei.co.jp/enak/2006/jul/kiji/28sickcar.html
中野博『新車は化学物質で汚染されている!-シックカーは怖い』東京:現代書林,2006年.
(8)関口和彦,安原正博,王青躍,他「道路近傍大気中における超微小粒子の挙動」『埼玉大学紀要 工学部』39号(2006),pp.171-178.
秋元肇「東アジアにおける広域大気汚染の解明と温暖化対策との共便益を考慮した大気環境管理の推進に関する総合研究」『平成25年度環境研究総合推進費研究成果報告合』2014年3月10日 東京.環境省 環境研究・技術 情報総合サイト
https://www.env.go.jp/policy/kenkyu/special/houkoku/data_h25/pdf/S-7.pdf
(9)呉春玲,田村憲治,松本幸雄,遠藤朝彦,渡利千里,新井峻,村上正孝「茨城県におけるアレルギー性鼻炎受療率に及ぼすスギ花粉飛散量,大気汚染,都市化の影響」『日本公衆衛生雑誌』49巻,7号(2002),pp.631-642.
王青躍,青木大輔,坂本和彦「関東地域都市部に飛散するスギ花粉への大気汚染物質の沈着」『埼玉大学紀要 工学部』38号(2005),pp.81-89.
栗原幸大,王青躍,桐生浩希,他「埼玉県都市部、道路端および山間部におけるスギ花粉アレルゲン含有粒子状物質の飛散挙動に関する研究」『大気汚染学会誌』42巻,6号(2007),pp.362-368.
正藤慶一「都会はスギが少ないのに、花粉症が多い理由は「アジュバント」-ダイキン、花粉対策セミナーを開催」『家電Watch』2011年1月13日.
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王青躍,ゴン秀民,董詩洋,他「花粉飛散時における環境汚染物質の影響とアレルゲン物質の放出挙動」『エアロゾル研究』29巻,S1号(2014),pp.197-206.
(10)環境省ホームページ「黄砂とは」
https://www.env.go.jp/air/dss/kousa_what/kousa_what.html
(11)市瀬孝道「3.大気汚染(PM2.5,黄砂等)とアレルギーに関する研究の進展」『アレルギー』63巻,8号(2014),pp.1085-1094.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/63/8/63_KJ00009468823/_pdf
(12)大分看護科学大学,京都大学,産業医科大学,東京女子医科大学「黄砂とPM2.5による複合大気汚染の肺炎、アレルギー疾患増悪作用とメカニズム解明に関する研究(5-1457)平成26年度~平成28年度」『環境省環境研究総合推進費終了研究等成果報告書』
https://www.erca.go.jp/suishinhi/seika/pdf/seika_1_h29/5-1457_2.pdf
(13)「中国トングリ砂漠に5万トンの黒い汚染物質 地下4kmまで浸透 製紙工場の廃棄物」excite.ニュース,2019年11月20日.
https://www.excite.co.jp/news/article/EpochTimes_49207/
「トングリ砂漠周辺に投棄された汚染物12.9万トンを処理 中国生態環境部」AFP BB News,2019年12月4日.
https://www.afpbb.com/articles/-/3258012
(14)中野孝司監修「大気汚染による呼吸器・循環器疾患は増加している」『日本医事新報』NO.4766(2015.8.29)pp.17-35.
(15)柿田秀明,伊藤和真「正邪脉診法で正気を診、正気を補う:ツボの選び方2」『医道の日本』79巻,2号(2020),pp.42-48.